雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2021-01-01から1年間の記事一覧

国際における自立的行動の普遍的な正当性の歴史的根拠と方向性

現在、中国とアメリカがきびしく対立している。これに関して、日本はアメリカに添いつつ、アメリカの方針に必ずしも全面的に従わず行動している。それに対して一部、とくに安部前首相などは、素早くアメリカと一体の行動をとることを主張している。政府は上…

西洋思想と法制に還元できるか、還元できない「固有性」を実体化しないで人類史の中に位置ずける。

12月25日に行われた戦時法研究会のもう一つの報告は森本拓さんの「上杉国家論の法思想的意義の検討」であった。報告はイエリネック以後の上杉慎吉の依拠する思想を緻密に追求し、最後の方では、日本思想史において、個人と国家の関係に着目して整理する…

煩悶, 少年義勇軍、二三男問題、土地山林所有権、工業化

12月25日に上智大学で、戦時法研究会がオンライン併用で対面形式で行われた。実に対面方式は2年ぶりであった。最初の報告は西田影一さんの「加藤莞治における「協同」と「農本主義」」である。都会で育ち、青年期に「煩悶」のなかで天皇を神とするかんなが…

総力戦体制論の新展開と医療の「社会化」ー自由主義・協同主義の関係と割合と医療制度

私はこの10年ほどは、戦時の戦後、現代までの連続性を一つの内容とする総力戦体制論をさらに展開しようとして来た。それが、戦時体制は自由主義と協同主義の関係から言えばはじめて上から、下からの協同主義の流れを上から制度化した体制であったこと、そ…

時代への向き合い方-老年期の学問・高齢社会・協同主義

写真表題の本が本年12月20日に丸善プラネット社から、出版されます。ブログでも部分的に触れてきたテーマをまとめたものです。もし興味がございましたら読んでいただくと幸いです。

2021年12月の俳句

怪漢のくしゃみ研究会始まる ブロッコリ友らみな大言放語す いろいろな雲がある大根干す 着ぶくれて人知の及ばぬことのあり 冬隣風に遅れて揺れる苦瓜 鯔跳ねて向こふの世をみてゐる いくものをいかせてコロナ再三 薔薇カサブランカに蝟集するしじみちょう …

2021年11月の俳句

一瞬毎華やぐ翳や暮れる富士 上弦の月パンデミック五波六波 北多摩にこんなおほきな赤い月 靴下を脱ぐ茄子の花咲く 赤きまま富士の容に富士I暮れる こほろぎのつづく主張に反論せず 夕闇の光に乗れる放屁虫 こほろぎの音止まぬからビール飲む 小鯛の目澄み切…

2021年10月の俳句

封鎖飢餓ショスタコーヴィチ第七番 自転車屋が自転車を売る赤蜻蛉 清潔な持続の快感合歓の花 こまつたなあ茄子のうらなり 野葡萄を食むや紫紺の酸弾け ベランダ菜園無常とはかく豊か 秋深し地球の海で鯵を釣る 秋の風ちがふ東京になっている 柿実るなど普通…

象徴君主制への作法

真子さんの結婚をめぐっていろいろな意見、というより、結婚相手の人や、家族がいかに不適合かを、メディアも「皇室」や「天皇制」の専門家や研究者までがのべ、この結婚はするべきでない、に近い言行をしている。私は皇室にも天皇制にも、興味がなくあえて…

2021年9月の俳句

不特定多数の無言蝉時雨 踏切を越へて秋の人になる 凶暴にすずむしすだく変電所 秋の闇のみ運ぶ新幹線 パラ初回戦傷者多今皆無日本夏 龍田姫灯のみ運べる是政線 女王としもべカフェの夏 群れ魚に子等も加はる夏の海 漂猫に慕ひ慕はれ夏続く デモ指揮で検挙の…

俳句誌『澤』への応募の結果

本日、私も参加している澤俳句会誌『澤』257号、2021年8月が届いた。そこには通常の記事のほかに、2021年1月15日に私も応募した新人賞など諸賞の審査結果が載せられている。74人が応募している。結果は賞はとれなかったが、私に関連すること…

2021年8月の俳句

五輪に反対だが、柔道とサッカーを楽しんでしまっている。昨日の柔道団体戦で、フランスが金、日本が銀、の結果は、色々な意味で柔道全体にとってベストだと思う。フランスが柔道人口世界一ということもふくめて。さて8月の俳句。 ひたすらに常盤木落葉恋始…

「西洋法制」の場に限定してすむか。天皇機関説事件。

一昨日7月17日に戦時法研究会がラインで行われた。米山忠寛さんが天皇機関説事件について、美濃部達吉の「圧勝」、日本の政党政治に貢献した、などのこれまでの「通説」やイメージと異なる報告をされた。[論争」において美濃部を批判する側の論理や態度を…

戦後憲法学の群像と戦後体制の形成・展開・動揺・ポスト戦後体制

編者の鈴木敦、出口雄一さんから『「戦後憲法学」の群像』2021年、弘文堂、をいただいた。戦後の憲法学を、それぞれを戦後第一世代から第五世代として、啓蒙の憲法学、抵抗の憲法学、制度の憲法学、その後の「護憲」などにニュ₋トラルな憲法学、と区分す…

ポスト「住宅都市」と「伝統社会]

本年3月に出版された「和泉市の歴史」第8巻『和泉市の近現代』を先月和泉市からいただいた。執筆者などの広川禎秀、佐賀朝、塚田孝、高岡裕之さんは、、学会などで交流して来た人たちである。 500頁にわたる大著である。和泉市域が農業社会から工業化が…

2021年7月の俳句

新しい本のむすびの内容に関わる報告を2か月ほどかけて準備し、6月27日の協同主義研究会で報告した。出口雄一さんの報告での、我妻栄の戦後の位置取りー1930,40年代の協同体論の重要性を引き継ぐーとそれへの批判をふまえて、もう一度その位置取り…

2021年6月の俳句

月蝕のむくんだ月と風鈴と 疫の世にそっと風鈴吊るしけり 鏡の奥より響く風鈴午後三時 花忘れ家々うつす目黒川 心音が景色の一部犬の初夏 紫陽花や踏切の音のみの街 声のない声あげて少年初夏 どことなく不機嫌な耳犬卯月 瑠璃戸を少し開けて聞く五月雨を あ…

超高齢化社会を支える高齢者の働き方とシステム

編集者との打ち合わせもふくめて著書の準備が進行している。新しい論点の一つとして、高度成長の余剰がなくなった段階の「人生百年時代」という超高齢化社会では高齢者も当然その社会を支えざるを得ないが、その時に苦役でない楽しい働き方とシステムを考え…

2021年5月の俳句

私の七冊目の単著の準備のために、意図、構成、目次など考えていて、俳句のことを考える時間はすくないが,詠めたものを書く。 初嬰を万緑にくるみ帰宅する 初嬰を万緑にくるみバスを待つ 青葉全樹光の中の園児たち コロナ禍やワクチン打ちて新緑へ 万緑の中…

2021年4月の俳句

春満月を家の中まで連れ遊ぶ 春時雨蕗てふ花のあたたかさ 水平に氷河の擦痕岩山春 花に佇ち花の向こふを見てゐたり 初桜とらえし御器齧りのやはらかさ 大輪のらっぱ水仙深い息 花満つる桃の花満つ甲斐路かな 花満つる同姓の墓二十ほど 春燦燦万物を寛大にす …

2021年4月の俳句

春満月を家の中まで連れ遊ぶ 春時雨蕗てふ花のあたたかさ 水平に氷河の擦痕岩山春 花に佇ち花の向こふを見てゐたり 初桜とらえし御器齧りのやはらかさ 大輪のらっぱ水仙息深し 花満つる桃の花満つ甲斐路かな 花満つる同姓の墓二十ほど 春燦燦万物を寛大にす …

2021年3月の俳句―補

3月6日に三つのオンライン研究会に参加して楽しかったが疲労もした。そこでその後1,2日俳句を楽しんだ。 春うらら遠くを見てゐる縄文人 卒業す流れる水の緩やかに 春は曙ねがえるがうらぎらづ 恙なく駄猫駄馬豚児卒業す 白い息あなたの声がよく見える しく…

三つのオンライン研究会

3月6日土曜日は、早稲田大学ナショナリズム・エスニック研究所WIÑE研究会、戦時法研究会、、天川ゼミナール・ガバナンス研究会の三つのオンライン研究会に参加した。早稲田のものは貴堂嘉之さんのアメリカナショナリズムはシビックナショナリズム、エスノ…

2021年3月の俳句

おほかたは水に流さず春ショール 打ち上げられし巨船の角度春の月 大地溝帯を走る人々大旦 校庭の空に溶け込む蛇口の氷柱かな とも 一病が悪友への魔除け初桜 野馬はひらがなだろう かげろふ 藪椿一輪づつの墓参り 下萌えをボールのごとく犬走る 恋猫の闇の…

都市の農村化と農村の都市化の交錯ー田園都市構想とポストベッドタウンシステム

かねてからの友人である先崎千尋さんから著書『評伝山口武秀と山口一門 戦後茨城農業の「後進性」との闘い』2021年1月、日本経済評論社、をいただいた。著者も組合長や町長などで関わった茨城県の、戦前、敗戦直後、高度成長期、高度成長後から現在にお…

2021年2月の俳句

恐竜を祖にもつ白鳥のその声 雪しきりエンゲルス読む午後三時 親方のこらえ涙や照ノ富士賜杯秋 一叢に一輪づつの寒椿 野良の径映画帰りの冬銀河 みどりなき土にやはらか春の雨 透明な城といふもの姫路秋 大寒や猫背を直せと猫にいふ 寒明くる親子にされたや…

「個人的性愛」の「現実化」と協同主義

私が研究員をしている法政大学大原社会問題研究所から『大原社会問題研究所雑誌』748号、2021年2月号、が届いた。「イギリス工業化社会における労働者階級家族と子供たち」を主題とする特集がくまれている。その中の「エンゲルス『起源』の「二つの生…

2021年1月の俳句

除夜の鐘太平洋の空の色 しっかりと寒夜は暗き父母の街 歳月は毎秒ご破算去年今年 母の作品として我喜寿の暮 スーパーの角を曲がって新年の来る 勉強からきし独楽最強の児寡黙 オンラインプレゼン中の猫の恋 それぞれの子供躍らす落葉溜まり 竃猫不幸なけれ…

2021年の年賀状

明けましておめでとうございます。昨年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。 昨年は協同主義研究会、五つ程の学会、研究会でのオンライン参加と報告(戦時法研究会)をいたしました。以前より多く、以前には戻らないでしょうね。 新…