雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

象徴君主制への作法

 真子さんの結婚をめぐっていろいろな意見、というより、結婚相手の人や、家族がいかに不適合かを、メディアも「皇室」や「天皇制」の専門家や研究者までがのべ、この結婚はするべきでない、に近い言行をしている。私は皇室にも天皇制にも、興味がなくあえて言えば、こんなに人権を無視されるファミリーを必要とする制度はあってはいけないと思っている人間である。

 象徴君主制は、好きな言葉ではないが「コストパフォーマンス」がじつによい制度である。一つの国や連邦のまとまり、アイデンティティ、バランスなどを君主ファミリーが象徴として体現してくれる。4,5年ごとに大統領選挙などで象徴をつくる非君主制はたいへんなのである。だから民主主義が成熟した国々でも象徴君主制が行われている。つまり人類の重要な知恵の一つといってよい。

 象徴君主制がなければまとまり、アイデンティティ、バランスなどを国民自らが不断に日常的につくっていかなければならないのである。今の日本は、日本国民は象徴君主制を廃止しようとしていない。つまり国民は民主主義的にその存在を支持し依拠していることになる。そのために人権が保証されない皇室、君主ファミリーが存在させられている。そうだとすればそのファミリーメンバーにはできるだけ自由に生きてもらうことをみんながあたたかくみまもり、保証することが、作法と思う。