雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2019-01-01から1年間の記事一覧

2019年12月の俳句

よそおいの静かに終わる甲斐の山 成人の一人一人に雨やわら 成人の日のますぐなる紀尾井坂 休日もラッシュの中のクリスマス 段差なくつまずいているクリスマス 満足すだから転職クリスマス 雄鳩が膨らんでいるクリスマス 駆け込まない立ち止まらないクリスマ…

政治史の豊かな展開

本月12月15日の第5回協同主義研究会での「「協同主義とポスト戦後システム」再論ー社会的連帯経済・再編福祉国家論・MMTと関連させて」と題する報告を終えてしばらくぼーっとしていたが、そのほかに参加した研究会で気がついたことを書く。 11月30日歴科…

雑草愛と雑草絶滅欲

先日句会の後の飲み会で、庭の雑草取りを腰が痛くなっても三度まではがんばる、とかとにかく雑草を一本もはやさないようにしているとか、少し忙しくて伸びていたら隣の奥さんから体でもこわしたのですかといわれたりとか、友人が少し雑草をのばしていたらゴ…

11月の俳句

秋澄みて都市の礫川白々と 大手町都市の紅葉ななかまど 旧石器よりの営み野川湧水 藤袴咲きたりと告ぐ母の墓 あつかんやぐちぐちぐちるやさおとこ なにいってんだかわからんけんど石蕗の花 秋の池かすかに揺らす笹の音 諦念とは明らめること曼殊沙華 行く秋…

研究会でのおおまかなコメント

10月26日に東京経済大学で「牧原憲夫と語る会」に参加した。配られた資料から、氏は、例えば朝鮮史において民衆から朝鮮が植民地になぜなったかを考えてほしい、という論点をだしている。これまで国家、権力、に関わらない「主体」としての民衆像を牧原氏…

2019年10月の俳句

一粒の水の迅さや大野分 真二つに割る栗のいが富士の山 野分過ぐ耳鳴りのみのしんしんと 野分過ぐ東京の月かあくかあくと 風通し目通し千年枕草子 老媼二人置きたる大花野 咲きみだるる百日草や生家まで 以上

表現の自由

今日、あいちトリエンナーレのことを書いたが、それと関連して私的なことを思い出した。私が勤めていたある国立大学の研究所の所長をしていた15年近く前のことである。 研究所の講堂で折からの社会科教科書をめぐる公開研究会のような催しを所員の何人かがや…

あいちトリエンナーレ2019

1昨日9日、あいちトリエンナーレに出向いた。再開された「表現の不自由展・その後」の抽選には落ちてしまったが、それ以外の作品は(豊田市の場所のものは時間的に行くことができず見れなったが)見ることができた。 実に多様でアクチュアルなテーマ、多様な…

幽霊の原稿」

昨日、西麻布にある画廊スノーコンテンポラリーで、ベルリン在住で私の長男の雨宮庸介の「幽霊の原稿」と題する個展を見た。 今度の作品は、直接のきっかけのひとつには今は落ち着いているが、ここ一、二年の父親である私と母親である私の妻がかなり重い病に…

2019年9月の俳句

豊かゆえの行列の中秋の風 友次々と癌で達者や百日紅 「しずかだね」幼なが母に涼新た 朝顔のさらに群青野分跡 とんぼ追ふ蝙蝠の群野分前 行く秋の波が波追ふ鹿島灘 新涼や海を見ている少女と老犬 かさご釣るかさごのごとき顔をして 反日と反北の向こうの風…

多様性豊かな小金井市には熟議の政治を

本年7月21日に行われた参院選の結果は、全国的にも東京都でも小金井市でも共通性がある。議席上では自民党が多いが、自民も含め議席数、得票率ともに過半数を越える政党は存在しない。政党は多数で多様であり一党では政権は取れない、つまり争点が単純な一党…

小金井市議会報告会2019

昨晩、小金井市議会報告2019「市民と議員の交流会議」に初めて参加した。最初に各委員会報告があり、次になぜ市政、市議会に市民の関心が低いのか、どうしたらいいか、あなたはどうする、の3テーマをめぐる「世界カフェ」が行われた。数テーブル、数人、…

8月の俳句

「ぼくがなにをしたの」被曝の五歳言ひて逝きたりと 戦死知らず恋を記して逝きたりと被曝二十一歳 山女魚釣る山の向かうの祭笛 はいはいとききながしてるあまりりす (心技体の「体」を題としてあたえられて) 油照り一体全体いかんせん 八月六日カーブ逆転…

非利潤と非政府と協同主義

7月20日に戦時法研究会があり大中有信「20世紀の例外状態と総力戦体制における日独法学ー日本の民法学・財産法学のための覚書」、および岩井淳「京都学派と戦時体制」の充実した2報告があった。いずれも対象の時期のアクターについての詳しい説明がなさ…

7月の俳句

いきているだけでいいじゃんれもんすい 鮒に戻る金魚まどろむ澱みかな 鉄線花いつから涙もろき父 梅雨晴れや光重たき街を行く はいはいと聞き流してるあまりりす 「ユーやっちゃいなよ」子ら育ちたり夏木立

蠟山政道の理論の射程

2019年5月25日に占領・戦後史研究会があり、王継洲さんの「蠟山政道の政治学に対する考察ー国家論を中心にした」の報告があった。蠟山の理論の内容を先入観を持たずに説明した優れた報告であった。これに対していくつかのコメントをしたのでここに記して…

6月の俳句

ひゆんひゆんと糸を鳴らして鮎奔る 禅寺のぐみの花揺れ梅雨に入る 信州真田のごとき小藪蚊に刺されたり 新緑の笛吹川琴川鼓川甲斐の川

2019年度歴史学研究会現代史部会ー55年体制、保革の越え方、68年、近代とポスト近代

5月26日に久しぶりに歴研現代史部会に顔を出した。テーマは「平和運動を歴史化するー冷戦史の解釈枠組みを越えて」で、報告者は日本―神戸については黒川伊織さん、ドイツについては竹本真希子さんのお二人で、いずれも演釋的でない豊かな報告と議論であっ…

[一強」の今とこれから

最近テレビで古賀誠氏が「安倍首相の後任は菅官房長官が適任である」と述べたのを聞いた(8日BS日本テレビ)。彼は岸田派宏池会の名誉会長であるが岸田氏が今首相になれば大変苦労する、とのべている。菅氏は土のにおいのする点で今の自民党に要請される資質…

五月の俳句

体調を少しくずしたが回復しつつあるので、俳句をつくった。小金井公園の建物館をおもいだしながら。 棟の間の五月の空の三センチ 行く春を縄文晩期の丸木舟 川原石の古墳の下の夏の川 万緑を分けて七千五百型都電 復元のその復元の夏屋敷 若葉色のドレス銀…

2019年4月の俳句

菫にも満開といふことのあり荒小庭 忖度元年政権花吹雪 花の下子供のような母四人 特養のバスより五人花衣 銀色に咲きてまばらな藪辛夷 講終て花満る中帰りけり ひっつめ髪の媼美し路の春

送られてきた文献

4月になったが3月17日の報告と討論の余波が録音の電子資料で読んでいることもあってか、なかなか薄れない。この間、私の研究ノート「小金井市の近現代史から市の現状と課題を考える」の抜き刷り、とそれが掲載されている『地域総合研究』第12号、201…

第一回協同主義研究会

昨日3月17日に協同主義研究会の第一回が小金井市のマロン会館で行われた。私が「協同主義研究会の様々な課題と様々な立ち位置ーポスト戦後体制の模索期(1989-2019年)と内外の当事者性、、メタへの責任、既成制度からの自立」について報告した。…

2019年3月の俳句

この2、3か月はゆるくではあるが協同主義研究会の立ち上げと、私は研究会では報告しないはずが、この3月の第一回研究会で報告する羽目におちいり、その準備のために余裕はないはずであるが、俳句はできてしまった。この間の春の雨、さらに自宅の二階からは自…

2019年2月の俳句

病棟に鳩二羽一羽寒の入 点滴の向かうに大き春の雪 点滴の落つる向かうに虎落笛 窓ふきの跡の丸みや虎落笛 残り葉の光の道や虎落笛 初茜雲ありてこそ空のあり

2019年1月の俳句

子晦日や本屋に列の長く伸び 紅葉落ち八つ手の光伸びやかに 子供とはいつも有事や初御空 山迫り星を貫くどんどの火 我らはや二代の遺物初茜 一時は彼の地の命初御空 平成夏代々木公園デング熱 折れる枝折れるわけあり野分だつ 恐竜を見たかと問ふ孫日脚伸ぶ …

2019年年賀状

-明けましておめでとうございます。昨年中は大変お世話になりました。本年も宜しくお願い致します。昨年はいろいろな意味で少し画期的な年でした。『協同主義とポスト戦後システム』の出版、小金井市近現代史の地元でのゼミ、それをもとに『市民運動新聞』で…