雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

表現の自由

 今日、あいちトリエンナーレのことを書いたが、それと関連して私的なことを思い出した。私が勤めていたある国立大学の研究所の所長をしていた15年近く前のことである。

 研究所の講堂で折からの社会科教科書をめぐる公開研究会のような催しを所員の何人かがやりたいので所長の使用許可を求めてきて許可した。するとその研究会の数日前から反対の右翼が街宣車を出して行動する、との情報があり、大学の幹部が危険なので研究会をやめてほしい、所長が使用を許可しないでほしいと何回かいってきた。かなりパニックになっているようであった。

 私は「大学には学問の自由、表現の自由、があるから中止はしない」「右翼にも表現の自由がある。規則を守って街宣するのは何も問題ない」「大学当局は警察にその街宣が法と規則に違反しないよう対処してほしいことを言えばよい」といった。

 結局研究会は開催された。所長室で相当緊張していたが街宣車も静かに街宣し、研究会も覗くと批判派、賛成派が議論しておりにその中で批判、賛成と違う次元に議論が発展していた。