雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2024年2月の俳句

その一

冬日満つ一ヘクタールの駐輪車

色褪せて冬菊咲くや底光り

赤ん坊の寝息聞える春障子

前の世の話声する白障子

日払いの仕事帰りのおでんなり

歯が痛いてふ初夢覚めても痛い

20を19と書く前世紀の遺物年賀状

暮れの日の光の強さにたじたじと

声届き声返る朝風邪治る

その二

うしろからふわりと抱く雪女

吾が心やはらかく操る雪女

プラトニックの一線越えず冬銀河

猫の毛の絶望も希望も一毛打尽

ゲームする青年の脚攣る電車冬

日陰迅く陽だまりおそき日の光

踏切をかんからかんと冬の月

健ちゃんの息子です故郷冬の道

コンビニにひとひとひとひと元朝

撒き散らせしDNAにお年玉

その三

一両の電車湖行く初景色

枯野行く人を見ている天体望遠鏡

初御空十重に重なる無人の機

ラインにてお年玉論争決まらず

懐手して頭からっぽ大旦

初参り天狗党墓行軍す

冬の川身じろげる鯉目をそらし

仁王顔のをとこ道掃く初御空