雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2023年1月の俳句

その一

全身に日のしみわたり大旦

春の野に重箱持たせ子を放つ

朱の闇をぬけ初参り鳥居路

石蕗の花庭師の所作の美しく

鴨のあと水脈のVの字どこまでも

極月の残照赤いカヤック

人消えてひたすら深紅冬薔薇

冬夕焼メタセコイアの丈高し

天国は一瞬一瞬ベリージャム

その二

凩の奥にあるちゃんちゃんこ

噴水のしぶき深紅の冬薔薇

時雨るるや無音となりし商店街

一時雨明るくなりぬ暮れの街

汽水線鯔とびやまぬ夕時雨

武蔵野の音一斉に止む初時雨

だんだんと心が空に時雨道

その三

鎌倉の市役所前の石蕗の花

しばらくの会話のとぎれ石蕗明かり

ひたすらに散る山茶花のはなざかり

有能なヘルパーなりき石蕗は黄に

鎌倉の長谷に急げば石蕗は黄に

鎌倉の下校の路の石蕗の花

行列し梅挟み鯵石蕗日和

鎌倉路こんなやはらか石蕗の花

冬夕焼真っ赤に燃える送電線

電話繫し友の躁鬱石蕗明かり

大旦となりの猫の一瞥す

横丁の奥に日のさす大旦

甲斐連山碧くっきりと初日影

以上。