雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2022年3月の俳句

一つだけ吹きあがる雪春の雪

雪時雨一途に横切る椋鳥一羽

空碧き数多の枝に梅一輪

ある寺の朱門の上の大曇天

スマホする眉をきりりと寒椿

義理などと断じていはず子のゴディバ

秋水が武蔵野の音奏で

末子入学空いっぱいのしろもくれん

コロナ禍の春風はさんでハグをする

寒鴉つまずきてみるみぎひだり

通路の真ん中にいる雪女たち

猫可愛がり冬猫残してバスの発つ

反論を一緒に浴びたスーツ脱ぐ

春の川水のかたちに風の音

猫柳答えはきっとここにない

若きより大方のことゴミ初御空

街騒を時にはもとめ日脚伸ぶ

万年の陽あたたかき縄文の丘

ひからびるこの星堕ちて行く陶酔

日脚伸ぶ手を汚さずに生きるとは

木枯らしの葉毎にひかる八つ手の葉

闇を吸いひかる緑や八つ手の葉

雪時雨弾いて八つ手緑増す

こもりいる小心者に雪の声

冬すみれの声行く道を失わせ

機嫌よく咲いているのはポインセチア

小さき黙あつめ透明中央線

犬の春走り来れる街通り

西行忌ランニング一枚干される社員寮

三メートルの壁の厚さや変電所

比良八荒抗がん剤休薬中

なめくじを尾から飲み込む蟇蛙

2022年3月17日に以下追加

子供一人殺したら三回死ねプーチン

冷徹な狂気に刃物プーチンに軍

国民族で生きていないのに戦火難民春冷えて

狂気には外すにしくなしキエフ春冷

雪の上に雪降る音や雪の音

春暑し河津桜も散り初む

春暑し椿の花のつやつやと

行き止まりに梅の大木花盛り

さんしゅゆの蕾黄に立つ春の立つ

以上。