雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2024年1月の俳句

 

その一

書初めやひきこもりの叔父手本書く

殺人は許さない読み初めは露伴

塩鮭の塩にまみれる無表情

水落ちて昇る水あり大氷柱

つくらずならず窮鼠開戦日

三十五人殺して妻救う美談ハリウッド冬

キラキラと新樹の古墳バギャナなり

多詠少捨少詠多捨冬ざるる

その二

ラフランス追熟完熟手榴弾

明ける空みつめる幼なメリークリスマス

声届き声返る朝風邪治る

頭でっかちだが体もでかいうるめいわし

義務のごとなめるごと食べる人たち肉丼屋冬

時計紛失時のない十二月

幼丸出しのキャンデイーズファンベルエポック

その三

湖の芯抜くごとわかさぎを釣る

真白な山茶花散らず施設の庭

落葉の大木琳と霜と月

マフラーの星条旗に冬の蠅

想い出は想い出している現在十二月

やはらかく一網打尽ファイブジー

赤い黙白い黙冬の黙

無音といふ色住宅街冬

その四

冬薔薇見る人を見る人を見る

かたずかぬことはかたずく大根引き

塾育ちが塾教師大学一年生

ビル内のカフェの形の冬の夜

その五

どうしてもルフランス欲しい午前三時

まぐあいも死も生の絶頂八ヶ岳

やはらかくねむる連山甲斐に入る

渋谷交差点見る人々を見る冬の昼

冬来るごとく赤富士現る住宅街

蛇殺す子等に母なぜといふ

暑いとき暑い寒い時寒い去年今年

目が顔の半分以上の鯖をつる