雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

三つのオンライン研究会

 3月6日土曜日は、早稲田大学ナショナリズムエスニック研究所WIÑE研究会、戦時法研究会、、天川ゼミナール・ガバナンス研究会の三つのオンライン研究会に参加した。早稲田のものは貴堂嘉之さんのアメリナショナリズムシビックナショナリズムエスナショナリズムとされてきたが、奴隷制度と移民制度を基礎に置くレイシャルナショナリズムとするべき、との報告に対してコメンテーターの小沢弘明さんはアメリカ史の世界史化、を提起し移民国家はアメリカだけでなくで欧州やアジアなど世界中にある。そして移民国家に関わる分断やレイシズムは、労働力との関連で資本、経済、の問題として対処すべきとした。

 私は分断、レイシズムなどを指摘し定義するだけでなく、改善、解決するためには小沢コメントのように資本や経済の側面に広げるひつようがあるとおもう。その場合に第一にはアメリカにおけるその改善や解決はアメリカだけに閉じ込めないで欧州、アジアなどでの改善、解決の実践,萌芽などを見る必要があること、第二に、資本主義の問題であるが、社会主義でも分断、レイシズムなどが「解決」されない、とすれば資本主義でも社会主義でもないあり方をかんがえることが必要とおもわれる。

 戦時法研究会での「森と尊厳」に関する服部寛さん、ワイマール憲法48条についての遠藤泰弘さんの報告があった。後者の国家緊急権は革命の成就のためにも、反革命の実現のためにもなることを改めて再認識した。前者についてはキリスト教文化の中の人間、つまり自然も含めてすべて神がつくったとすれば神のみに依存する。それに対して自然諸物に神が宿っているとするアニミズムにおける人間とは何か、それが天皇制にもかかわり、人間の平等などはいかに考えられるかなど、が課題だと思った。

 天川ゼミナール、ガバメント研究会では今回のアメリカ大統領選挙を羽賀さんがアメリカの留学経験や研究から詳しく報告された。私は選挙前後におけるポストツゥルースに関連して、[事実]と異なる事も知っていても直さないのはそれが「受ける」、それを聞きたがる人々がいるからであること。したがってたとえば苦境にある白人労働者の苦境をいかに改善、解決するかの探求が必要と思う、とはなした。

 三つとも充実した研究会であった。それに同日に参加することなどはコロナ禍の前にはあり得ない。疲労したが楽しかった。