雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2021年6月の俳句

月蝕のむくんだ月と風鈴と

疫の世にそっと風鈴吊るしけり

鏡の奥より響く風鈴午後三時

花忘れ家々うつす目黒川

心音が景色の一部犬の初夏

紫陽花や踏切の音のみの街

声のない声あげて少年初夏

どことなく不機嫌な耳犬卯月

瑠璃戸を少し開けて聞く五月雨を

あきないの風鈴の音のみ深大寺表参道

花あふちむかひの孫の声高し

隣家より昼の風鈴ホームステイ

風鈴や音と風との格闘技

通院路濃い橙の杏の実

ジギタリスはあうつせえうつせえうつせえわ

花の名を持つこの街に時を飼ふ

踏切のすぐに開いて梅雨しげし

梅雨語り洗心佳話に洗われる

通学路に青梅一つ一年生

青嵐スマホあやつる八十婆

アフリカンの腕の太さや快速初夏

老年に老年期の学問あり夏木立

アスファルトのすべてのひびに虞美人草

以上。