雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2021年3月の俳句

おほかたは水に流さず春ショール

打ち上げられし巨船の角度春の月

大地溝帯を走る人々大旦

校庭の空に溶け込む蛇口の氷柱かな

   とも

一病が悪友への魔除け初桜

野馬はひらがなだろう かげろふ

藪椿一輪づつの墓参り

下萌えをボールのごとく犬走る

恋猫の闇の少なしベッドタウン

水仙をじつと見ている警備びと

ポットなる春の闇から湧く珈琲

春一番コロナの街をめくりあげ

春雨に突然さす日と鳴く鴉

春浅し少年ひたすら自捕自投

アスファルトに節分の豆一つ

ゆきのはて別れはつらし焼肉うまし

少年疾走春を追い越す

連翹を抜けて黒き猫となり

明=ミョウメイミン呉漢唐音ゆたかなり

蒲公英の黄のみ光れる急斜面

間氷期とある窓辺の紋黄蝶

下萌えや右往左往のビニール袋

呼びかけに弥勒の笑みを昏睡の母春

 以上