雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2021年2月の俳句

恐竜を祖にもつ白鳥のその声

雪しきりエンゲルス読む午後三時

親方のこらえ涙や照ノ富士賜杯

一叢に一輪づつの寒椿

野良の径映画帰りの冬銀河

みどりなき土にやはらか春の雨

透明な城といふもの姫路秋

大寒や猫背を直せと猫にいふ

寒明くる親子にされたやまとやま

樺の木のてっぺんに寒鴉

おひつかれ鴉にのまれる雀の子

花もなき花壇ふうわり春の風

芒原月の温もりこぼさざる

ふかれ立ち色をひきずる落葉かな

介護する人のこころの冬景色

荒波にこころの澱散る冬の釣り

マスクした冬の漢の逸らした目

大寒や踏切の音街無言

蟻急ぐ碧い地球の間氷期

こっとんと月あらわれぬ鰯雲

一月の公園凧低きまま

少年のピアス光れる冬銀河

大寒やすっからかんと街に出る

以上