雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2023年7月の俳句

その一

春の駒まっすぐに四肢八方に

なるようになるなんとかなる百日紅

洗濯物干す夏 空となる

豹柄の大木なりけり蒟蒻盛夏

城下町上市下市夏の堀

大墳墓地に環りたり蛙鳴く

正道の夏の真ん中に逸れること

緩い論えごい筍洋風居酒屋

その二

山葵小屋にカミュ全集第一巻

学生が卒業していなくなる

貝釦二つ外して夏句会

甲斐全山青葉若葉に溺れけり

一葉ごと光をたたえ金木犀

思慮深くやさしい少年夏来る

帰ってきたと笑み逝きし父庭若葉

木下闇そもそも初めは光なり

雉鳴くや空三角に変形す

その三

意図をせぬ夏断といふ自由

釣れぬ刻 ほどよく散らばる三尺寝

蝶として翻んいる我三尺寝

釣れぬなら無口不機嫌三尺寝

常磐の波の谷間の三尺寝

区切られしベンチに縮じみ三尺寝

日傘我まだ犯人の前防犯カメラ

今日のこと今日のことにてスクラベサクリ