雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2023年8月の俳句

その一

澄みきれる影水にあり八月の渓

真を避け善美に至り戦争ぞ

えごの花の上なる闇の明るさ

お父さんと呼ばれる猫や夏の街

真剣ななりゆきおにやんまの交

児の髪を揺らして過るおにやんま

その二

怒られるわけわからないジギタリス

夏の漣離婚する船長

別れても別れなくとも傘寿の夏

カンデンスキーのほかに知己なし夏の展

終点の駅の小さな蝉時雨

夕薄暑申年AB型水瓶座

改札口音楽で示す国戦争はせず

泰山木の花と目があふ歩道橋

一滴の速さ点滴梅雨明ける

今日のガガンボ明日のガガンボ

竹の皮外れる二秒無風なり

その三

療養室のレットイッツビー水中花

ほうたるに意味などはなしあいらぶゆう

茨の道茨の花はやさしい

擬死をするかめむしのイメージする死の形

動くことは死擬死は生黄金虫

夏の木の根っこ波打つアスファルト

やはらかくはりつめた脚ダイビング

大振りの小芝居モスクワの夏