雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

農村の“第二次都市化”と“再農村化”

 長男が山梨県の深い山里に古民家を得て改装している。その集落50人ほどの人口の3分の1ほどが、この1,2年の間に都会から移って来た人たちだという。この傾向は多少はあれ全国に起きていることは周知のことである。私もいくつか見たり聞いたりしてわかったことは、移住してきた人たちには、都市的な感性と関係で、しかも都市化をくぐって残っている農村の共同性を自覚的に大切なものとして、生活している人が多い。

 私は、最近のブログでも、著書でも。これまで、既存の都市の「過疎化」などによる事態を、それまでの都市の豊かさをふまえて「農村化」すればよい、とのべてきた。他方農村は個人化、混住化、兼業化など「都市化」した、とのべてきた。つまり農村の都市化と都市の農村化であり、田園都市構想の再位置ずけである。

 上記の事態を見て、農村の都市化は、個人化、混住化、兼業化などの第一次都市化に続いて、その上に、都市からのかなり多数の移住者とその移住者による地域生活の「都市化」という新しい事態を、「第二次都市化」といえるだろう。さらにその移住者たちが、都市で失われた「共同性」を大切に生活しようとしている点では「農村の再農村化」といってよい。

 以上のことは、都市における「都市の農村化」についても、それを経た「都市の再都市化」がまだイメージは結べないが展望できるとおもわれる。そのような新しい「都市」と「農村」の関連で「田園都市構想」などが深く、再定義されていく、と思われる。