雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

唯武器論と朝鮮問題

 唯武器論とは1933年に毛沢東が「持久戦」という著作のなかでのべたものである。戦争の勝敗は武器のみによって決まらない。きめるのは物ではなく人である。持久戦争になれば敵の武器も消耗したり士気がなくなったり、国内での厭戦、国際世論の非難などの武器以外の要因で勝敗が決まる。それを考えない思考を唯武器論といっている。

 いまの北朝鮮核兵器をめぐるありかたはアメリカも北朝鮮も両方ともこの唯武器論で動いているようにおもわれる。

 たしかに武器以外のソフトが武器大国である相手以上であった日中戦争時の中国、ベトナム戦争の時のベトナムなどは勝利した。しかし必ずしもそうでなかったイラク戦争リビア戦争のときは武器大国が勝利した。後者の場合はそのうえに報復攻撃する武器を持たなかったが故に攻撃されたのである。北朝鮮は微妙である。一定のソフトを使用しつつ上記

の武器を持つに至っている。あるいみでは稀有な唯武器論による均衡、危うい均衡に至っているといってよい。つまり日中戦争ともベトナム戦争とも、イラク戦争ともリビア戦争ともことなってもし戦争になれば広い範囲の核兵器戦争になるだろう。。

 今までと異なる唯武器論の克服、が要請される。つまりこの段階と特徴に即した武器を使わずに人、士気、厭戦、国際世論などを通しての解決である。