雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

2022年9月の俳句

その一

咲かぬものは咲かさず夏の植物園

植物園窓全開の野分前

肉厚き蓮の蕾に覚悟あり

蝉時雨浴びて夏の人となり

葉と茎に埋もれて疎ら夏の薔薇

葉と茎にほどよく疎ら夏の薔薇

左右大小非対称ベゴニアの片想い

カンチクハチクトウチク夏の竹

炎天や少し小降りの蝉時雨

百日紅の下テレワークする女

しおれるものしおれるままに植物園夏

恋恋恋ひたすら揺れるおみなえし

その二

いやだけどいいベタな夏芝居

爺さんの含羞婆らの色めき秋

すっからかんすっからかんと法師蝉

ごきぶりと目が会ひ共に動かず

若蟷螂眼逸らして雲を見る

家族とは不幸のためにコロナ夏

懺悔のごと皆うなだれる昼の向日葵

秋の湖自転車の視線一周す

水田てふ海に松原鳥海山

その三

八月や同じ日ずけの墓ばかり

炎天の街に火をつけ紅日傘

水道からゆるく熱湯アロハシャツ

歩道橋灼けるを渡る蹲る

土用明け富士に十里の街に住み

錆鮎の落ち往くさきは広い海

新しさ継いで草創秋たける

それぞれがそれぞれに咲く秋麗ら

その四

留置所の小さき窓の磨りガラス朱夏

ほくそ笑む越後屋の顔桃の種

鬱屈と草木瓜の実を持ってくるをとこ

オンライン出ておっさんにもどりけり

さあ散歩手足の段取りアマリリス

ホテルはリバーサイド此岸彼岸

垂乳根の銀杏黄葉三千年

江ノ島白秋各段階の二人たち

洗い場に蟻が一匹除かず

以上