風薫る二〇〇ページ二〇一ぺージ
メロンパン似合ふ少女や夏来たる
蛹脱ぐ蝶の目静か甲斐連山
花一輪卒業式を完成す
釣竿を空に一振り夏来る
脳内にデキシーランド夏を行く
大花火おおきく開き闇始まる
囀りの中さえずりて鳥となり 大欅夏空に光を孕ませて
手花火の花の開くや闇深む
自壊しつつあるから戦始める春
土用三郎が行く人見えず
守るべきものはなに子等と兵
孤児に親兵士に妻子チュウリップ
捨てるべきものはなにジギタリス
国民族我事に非ず子と兵士
先史人の叫喚混じる氷河かな
近代をさらりと避けて上機嫌夏
近代を越えてますます不機嫌夏
雲の峰老化は癌の予防のためと
様々なマスク青山一丁目
オンラインなぜか両手を振る夏
夏風のほつれ目から恍惚漢
竹婦人砂糖は腐敗防ぐため
旭天鵬優勝一斉に付き人号泣春
堤灯にメバル集まり海眠りゆく
鯛釣れず水は優しくなりにけり
鯵釣りの成果四入五入して話す
鮎釣りか釣られているか釜無川
竿放さぬ鮎釣人の流れ行く
無口不機嫌が作法釣れぬメバル舟
老いの血を吸いて老化する藪蚊
少詠多捨俳句消失夏の夜