著書の校正が終わってから俳句を90句近く詠んでしまった。そのうちからいくつかを。
書くことはすてることなり寒椿
詠むことは捨てることなり大旦
想起とはふわりと戦ぐ芒原
鯔跳ねてこの世の外に墜ちにけり
助けてと言へなんとかなる寒椿
いい加減に生きろ加減はお前が決めろ
適当に生きろ適当はお前が決めろ
いささかも冬空流れず川流れ
どの花もつくりかえられ薔薇の園
日本語で笑って検挙戦時ブラジル
いささ竹共産ポスター古自転車二日で更地
青桐の実縄文のDNA騒ぐ
十一月薄紫の茄子の花
身と心律儀に洗ふ人スーパー銭湯冬
寝るところ探している夢冬隣
声立てず話すカップル雲速し
縄文の骸骨に似た人骸骨と見つめ合ふ
川下りの舟死者生者マスクして
漂猫のさっさと過ぎる妻の留守
<奥さんの七回忌を迎えた友人に>
涼しき人と心に生きて紅葉七回
喪いても生きねばならぬ紅葉道七回
あーだこーだを怒るグレタや石蕗の花
ブルージーンズにはかれている老冬麗
オンラインの浮力の中の喜寿の秋
以上。