曼殊沙華犬猫貉通り過ぎ
曼殊沙華あまたの孤老通る道
困民の謀叛の山の粧ひけり
はきはきと足場組む人秋高し
家繕う患癒されるごと秋澄て
山査子の実右に見て退院す
明け夜勤の看護師のジィンズ空高し
病院働き人の子乗せ自転車数多かたまりて
眉間広き幼き姉弟花野かな
花以外寄せ付けないのだ大花野
講談はラップなんだな弁慶草
縄文の作り手の暴走絢爛秋
縄文の土器のつくり手の暴走を愛す
家郷より種ある巨峰味の濃く
諸事オンライン暇なし喜寿初秋
山の駅それぞれ
の紅葉それぞれの遅速
オノマトペはフランス語なりこをろこをろ
植物園午後のアンニユイ棗の実
手渡されし棗の実の甘く苦く
百日紅の幹の白さの林立す
湧水槽透明の卍重なりて秋
野分来る南海の空気深く吸う
秋の風三毛猫ふいに跳ね起きる
英国人苦闘す蕎麦音立てず食む
消防士の車さまざま秋高し
片思いだから派手
なベゴニアの花
団栗の落つる響きと虫の音と
講談の修羅場語りや秋澄て
木犀の落花流れてひかりあひ
以上
以上