雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

消費税プラス「反緊縮」?

 昨日4日、「人々の経済政策研究会」などで知られている松尾匡立命館大学教授のhearing調査に参加した。友人の大嶽秀夫氏および木寺元明大教授のさそいであった。

 二人からは現在の政党研究の一環としてれいわ新選組との関係がきかれた。松尾さんからは山本太郎代表と経済政策を主とした連携がはなされた。これらについては、やがて起こされて発表される予定なので、ここでは私の関心に関連したことを書く。

 いくつか興味深いことがあるが、一つめはMMTとの関連である。私はMMTと協同主義との関連を昨年12月15日の協同主義研究会で報告するために調べたときには、松尾さん達とMMTはほとんど同じものとおもっていた。基本的には、不況の時はケインズ主義政策で、完全雇用になったら新古典派の政策に帰結するサミュエルソン新古典派総合に帰結するとして。松尾さんはMMT理論とは自分達は政策もモデルもちがうと話された。

 二つ目は、消費税を廃止

ないし5パーセントまで戻すことを主張されてきたことをめぐってである。松尾さんは「リベラル」の中でもそれをめぐって対立があることを話された。私は上記の報告で、ネオリベラルと権威主義でない方向性のためには、消費税は20パーセント近くにしてセーフティネットの基盤をスティブルにして、かつ「反緊縮」と「緊縮」を自覚的に操作することが、つまり消費税と反緊縮は共存出来るのではないか、としたことを話した。松尾さんは左派ポピュリズムに肯定的立場から反消費税、反緊縮、を話された。

 三つ目はそれとも関連するが、井出英策氏

の主張との違いである。松尾さんは消費税増税分をすべて福祉にまわすこと。借金返済にしてならない、との主張は評価出来るが、哲学が異なる。井出さんは社会を対等な市民の共同体とするが、松尾さんは構造的に不平等な社会であり、それが階級の問題だと話された。これは二カ月前のブログで、プーランザスに関わる階級にたいして私は、資本主義システムとして多数派形成を考えるべき、といったことと関連するとおもった。

 たくさん考えることが多い有益な機会を与えていただいた松尾さん、大嶽さん、木寺さんに感謝します。

 京都駅から会場の京大正門前までバスで行ったがかなり長い道で、京都がいかにスモールビジネスが多いか実感できた。スモールビジネスは豊かな多様性を支えると思われる。東京でも地方都市でもスモールビジネスがほとんどなくなりチェーンストアが多くなっていることと比較出来るような気がした。