雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

研究会でのおおまかなコメント

 10月26日に東京経済大学で「牧原憲夫と語る会」に参加した。配られた資料から、氏は、例えば朝鮮史において民衆から朝鮮が植民地になぜなったかを考えてほしい、という論点をだしている。これまで国家、権力、に関わらない「主体」としての民衆像を牧原氏は主張していると私は思っていたが必ずしもそうでなかったことがわかった。

 しかしそのうえで氏と方法を同じくする当日のコメンテーターにも共通することだがやはり権力への民衆の対応の方法がどんどん緻密になっていくが民衆が権力を持つ(民主主義の自明な話し)時の対応とそのコンテンツが見当たらない。私はその対応とコンテンツを協同主義を中心にかんがえている。

 11月2日に法政大学で占領・戦後史研究会例会があり、浅井良夫氏が1970年代の東アジア経済史を、一つは貿易を中心としてアメリカ、インドもいれて戦前も含めて水平的関係としてみる研究潮流と、戦後も含めて垂直的関係としての植民地関係からみる潮流があることを紹介された。私は垂直=植民地、水平=貿易、ではなく、とくに東アジアでなくとも、水平になった、とくに独立以降水平になった本国―植民地関係と地域として、各々の振る舞いとコンテンツが既に存在し、その関係とネットワークが叙述さるべきとコメントした。

 11月7,8日と京都で院生時代以来の友人の大嶽秀夫氏と戦前、戦時、戦後の日本、イタリアの比較研究プロジェクトを中心に議論したがこのことについてはおいおい書くことにする。