雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

「戦後レジームからの脱却」と沖縄

 昨2月8日戦後体制研究会の研究例会があった。自民党衆議院議員宏池会国場幸之助さんのインタビューがおこなわれた。沖縄の保守故の特徴でかつその課題の複雑性や先端性ゆえに保守そのものの先端的普遍性につらなることを感じた。

 特に印象的であったのは、「沖縄メディアを抱擁するのが沖縄保守」と言われたことである。これは基地問題などに批判的で百田氏等からつぶすべきといわれるメディアである。さらに「ぶあつい保守の会」をつくり自民党安倍一強体制と異なる若手の勉強会をつくり活動したことである。

 さらに安倍首相が「戦後体制からの脱却」というなら沖縄の置かれた状態からの脱却もはいらなければならない、との主張である。たしかに沖縄の置かれた状態は戦後体制の不可欠な一環である。しかも興味深いのは、その沖縄問題の解決に力を入れたのは戦後体制の政治における主役といってよい田中角栄派や宏池会の政治家達であった。つまり戦後体制を維持しつつ戦後体制を越えるか、脱却によって越えるか、そして各々可能性が検討されなければならないと思われる。後者については脱却派は戦後体制の所産であり不可欠の一環である沖縄問題は「脱却」しない状態である。前者はまだ可能性は残っていると思われる。たいへん新しい知見を与えられたインタビューであった。

 国場さんの話を聞いて自由主義と協同主義を横軸に第一の国体と第二の国体を縦軸にして現在日本の政治や社会のシ諸潮流をかんがえると第二の国体と自由主義と協同主義の混合の象限が非常に生き生きとイメージできた。さらに付け加えると沖縄と本土という比較のしかたとことなってたとえば中央や大都市を介さない比較、たとえば沖縄と甲州の比較、中世、近世ではみんな違うしそれぞれが外交権もふくむ自立性をもっていたのは共通である。(この比較のしかた、戦後の超え方ー越え型とこの諸潮流の詳細については3月に上梓される『協同主義とポスト戦後システム』(有志舎)を参照)