雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

8月の俳句

「ぼくがなにをしたの」被曝の五歳言ひて逝きたりと 戦死知らず恋を記して逝きたりと被曝二十一歳 山女魚釣る山の向かうの祭笛 はいはいとききながしてるあまりりす (心技体の「体」を題としてあたえられて) 油照り一体全体いかんせん 八月六日カーブ逆転…

非利潤と非政府と協同主義

7月20日に戦時法研究会があり大中有信「20世紀の例外状態と総力戦体制における日独法学ー日本の民法学・財産法学のための覚書」、および岩井淳「京都学派と戦時体制」の充実した2報告があった。いずれも対象の時期のアクターについての詳しい説明がなさ…

7月の俳句

いきているだけでいいじゃんれもんすい 鮒に戻る金魚まどろむ澱みかな 鉄線花いつから涙もろき父 梅雨晴れや光重たき街を行く はいはいと聞き流してるあまりりす 「ユーやっちゃいなよ」子ら育ちたり夏木立

蠟山政道の理論の射程

2019年5月25日に占領・戦後史研究会があり、王継洲さんの「蠟山政道の政治学に対する考察ー国家論を中心にした」の報告があった。蠟山の理論の内容を先入観を持たずに説明した優れた報告であった。これに対していくつかのコメントをしたのでここに記して…

6月の俳句

ひゆんひゆんと糸を鳴らして鮎奔る 禅寺のぐみの花揺れ梅雨に入る 信州真田のごとき小藪蚊に刺されたり 新緑の笛吹川琴川鼓川甲斐の川

2019年度歴史学研究会現代史部会ー55年体制、保革の越え方、68年、近代とポスト近代

5月26日に久しぶりに歴研現代史部会に顔を出した。テーマは「平和運動を歴史化するー冷戦史の解釈枠組みを越えて」で、報告者は日本―神戸については黒川伊織さん、ドイツについては竹本真希子さんのお二人で、いずれも演釋的でない豊かな報告と議論であっ…

[一強」の今とこれから

最近テレビで古賀誠氏が「安倍首相の後任は菅官房長官が適任である」と述べたのを聞いた(8日BS日本テレビ)。彼は岸田派宏池会の名誉会長であるが岸田氏が今首相になれば大変苦労する、とのべている。菅氏は土のにおいのする点で今の自民党に要請される資質…

五月の俳句

体調を少しくずしたが回復しつつあるので、俳句をつくった。小金井公園の建物館をおもいだしながら。 棟の間の五月の空の三センチ 行く春を縄文晩期の丸木舟 川原石の古墳の下の夏の川 万緑を分けて七千五百型都電 復元のその復元の夏屋敷 若葉色のドレス銀…

2019年4月の俳句

菫にも満開といふことのあり荒小庭 忖度元年政権花吹雪 花の下子供のような母四人 特養のバスより五人花衣 銀色に咲きてまばらな藪辛夷 講終て花満る中帰りけり ひっつめ髪の媼美し路の春

送られてきた文献

4月になったが3月17日の報告と討論の余波が録音の電子資料で読んでいることもあってか、なかなか薄れない。この間、私の研究ノート「小金井市の近現代史から市の現状と課題を考える」の抜き刷り、とそれが掲載されている『地域総合研究』第12号、201…

第一回協同主義研究会

昨日3月17日に協同主義研究会の第一回が小金井市のマロン会館で行われた。私が「協同主義研究会の様々な課題と様々な立ち位置ーポスト戦後体制の模索期(1989-2019年)と内外の当事者性、、メタへの責任、既成制度からの自立」について報告した。…

2019年3月の俳句

この2、3か月はゆるくではあるが協同主義研究会の立ち上げと、私は研究会では報告しないはずが、この3月の第一回研究会で報告する羽目におちいり、その準備のために余裕はないはずであるが、俳句はできてしまった。この間の春の雨、さらに自宅の二階からは自…

2019年2月の俳句

病棟に鳩二羽一羽寒の入 点滴の向かうに大き春の雪 点滴の落つる向かうに虎落笛 窓ふきの跡の丸みや虎落笛 残り葉の光の道や虎落笛 初茜雲ありてこそ空のあり

2019年1月の俳句

子晦日や本屋に列の長く伸び 紅葉散り八つ手の光伸びやかに 子供とはいつも有事や初御空 山迫り星を貫くどんどの火 我らはや二代の遺物初茜 一時は彼の地の命初御空 平成夏代々木公園デング熱 折れる枝折れるわけあり野分だつ 恐竜を見たかと問ふ孫日脚伸ぶ …

2019年年賀状

-明けましておめでとうございます。昨年中は大変お世話になりました。本年も宜しくお願い致します。昨年はいろいろな意味で少し画期的な年でした。『協同主義とポスト戦後システム』の出版、小金井市近現代史の地元でのゼミ、それをもとに『市民運動新聞』で…

小金井市の近現代史から市の現状と課題を考える

① 互助と連帯と 小金井市は1958年に生まれ、今年は60周年にあたる。この時に改めて市の現状と課題を小金井市域の社会、政治、経済、文化の歴史の中で考えることは意味があると考えられる。 本稿では第一に、この地域の住民は課題を解決するためにいかに互助…

11月の俳句

11月11日三鷹山本有三記念館への吟行 柊の花の中なる白い闇 母として人として女の一生薮柑子 冬館松の巨木のきっぱりと 冬麗ら抵当流れの館かな 初時雨路傍の石の薄明かり 時雨るるや路傍の石に日を残し 吟行句会の後の座にて 笹鳴きや鳴かず飛ばずの昭和人 …

勉強しなおす楽しさ

筆者は自分が住んでいるところ、働いているところから問題を考え、それを研究の課題にしてきた。住み始めて十二年になる小金井市も四年前に大学を退職して以来その課題を考えてきた。市の公民館の勉強会や講座の中から「雨宮ゼミ」がつくられ、市における福…

十月の俳句

大欅鴉の声のやはらかく いつ遭ふた土器の火焔と曼珠沙華 停電や都会の空に大銀河 縄文より食みて言祝ぐマロンかな 蓑虫を一つ掛けたる枝の揺れ 本月より句会の名前が雲の会よりマロンの会となる。

シャッターのあるいは「シャッター街」の再定義と地域形成

9月16日にオープンした「art' isozaki](水戸市三の丸1)に9月22日に行ってきた。水戸市の中心の地域の一つであり雑居ビルがシャッターが閉められている状態で数年後には「再開発」されるかもしれない地域でもある。 このアートギャラリーの「こけらお…

九月の俳句

秋蝶に兵士の列の乱されず 竜胆と竜胆柄の江戸小紋 無人駅コスモス毎の風の色 酔芙蓉うすべに色の午後一時 俳句でも短歌でもないが ぼくがなにをしたのと五歳の被爆児言ひて逝きたりと

世界史と同期する中国共産党

三品英憲さんから『中国の国家体制をどうみるか―伝統と近代ー』(汲古書院、2017年)をいただいた。ここではその中の三品さんの論文「近現代中国の国家・社会関係と民衆ー毛沢東期を中心に」にコメントをしたい。三品論文の30年代40年代の中国共産党中央の少…

8月の俳句

相聞の河鹿の声のくぐもりて 空論と空理の境生業の秋 ちゅーちゅーと原爆の日のドリンクを飲む 合縁と奇縁のあはひ蜻蛉交 渓流に揺るる鬼百合闇香る その先を迷っておりぬ瓜の蔓 揺れやまぬ一木の一葉秋意かな 川は澄み河鹿は鳴けり物な思ひそ 病院を三歩離…

内側に足場をおきながら一方通行にならず維新史をサクセスストーリーでなく見る方法の検討

『歴史学研究』の2018年8月号に後藤敦史氏が「異国船はなぜ来たか.」という論考をよせられている。その趣旨は内側に足場をおく一国史観は一方通行的になり明治維新をサクセスストーリーとしてみてしまう。それを相対化するためには研究戦略として東アジア海…

7月の俳句

落花といふ美しさのありエゴの花 落花よりわずかにはやき翡翠の影

収集史料の委託

若い時、もう50年以上前から、研究過程で自分で集めたり、史料所有者から委託されたり、原史料を借りてコピーしたものが相当数あった。どうするか考えていたが、その多くは私が茨城大学にいた時に集めたものがおおいので、茨城県の歴史館に委託することにし…

蝋山政道における起承転結、米朝会談の意味

この間体調を崩し、ブログを休んでいたら何人かの若い友人から「催促」もあり、体調も回復してきたので書くことにする。 この間、『占領戦後史研究会ニュースレター』2018年6月に「戦後体制の言説生産の場と主体」という文章を書いた。そこでは蝋山政道が戦…

吟行場所としてのスーパーマーケットとその結果

昨日、市井の日常の場の一つとして選んだスーパーマーケットに吟行した。そのあとの句会ではいつになく豊富で多様で具体的な俳句が披露された。 カーネーションのあたりの品の影深き(いつこさんー以下さん省略) メロディーとともに売らるる新茶かな(ひでお…

出版記念会と四月の俳句

4月15日日曜日に小金井市のマロンホールで地元小金井市の「雨宮ゼミナール」の方々による拙著『協同主義と戦後システム』有志舎 、の出版記念会がひらかれた。27名参加され、地元の人、若い研究仲間、茨城大学、獨協大学で教えたゼミ生などがそれぞれ10人ず…

『戦時期の労働と生活』法政大学大原社会問題研究所の2,3の論文について

出口雄一さんと米山忠寛さんから『戦時期の労働と生活』法政大学出版会、2018年をいただいた。第八章戦時期の生活と「遵法運動」と題する出口さんの論文は国家法秩序と社会規範の分立をめぐる動きの実証的な論文でありその歴史的法学的位置と意味をみごとに…