雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

11月の俳句

11月11日三鷹山本有三記念館への吟行 柊の花の中なる白い闇 母として人として女の一生薮柑子 冬館松の巨木のきっぱりと 冬麗ら抵当流れの館かな 初時雨路傍の石の薄明かり 時雨るるや路傍の石に日を残し 吟行句会の後の座にて 笹鳴きや鳴かず飛ばずの昭和人 …

勉強しなおす楽しさ

筆者は自分が住んでいるところ、働いているところから問題を考え、それを研究の課題にしてきた。住み始めて十一年になる小金井市も四年前に大学を退職して以来その課題を考えてきた。市の公民館の勉強会や講座の中から「雨宮ゼミ」がつくられ、市における福…

十月の俳句

大欅鴉の声のやはらかく いつ遭ふた土器の火焔と曼珠沙華 停電や都会の空に大銀河 縄文より食みて言祝ぐマロンかな 蓑虫を一つ掛けたる枝の揺れ 本月より句会の名前が雲の会よりマロンの会となる。

シャッターのあるいは「シャッター街」の再定義と地域形成

9月16日にオープンした「art' isozaki](水戸市三の丸1)に9月22日に行ってきた。水戸市の中心の地域の一つであり雑居ビルがシャッターが閉められている状態で数年後には「再開発」されるかもしれない地域でもある。 このアートギャラリーの「こけらお…

九月の俳句

秋蝶に兵士の列の乱されず 竜胆と竜胆柄の江戸小紋 無人駅コスモス毎の風の色 酔芙蓉うすべに色の午後一時 俳句でも短歌でもないが ぼくがなにをしたのと五歳の被爆児言ひて逝きたりと

世界史と同期する中国共産党

三品英憲さんから『中国の国家体制をどうみるか―伝統と近代ー』(汲古書院、2017年)をいただいた。ここではその中の三品さんの論文「近現代中国の国家・社会関係と民衆ー毛沢東期を中心に」にコメントをしたい。三品論文の30年代40年代の中国共産党中央の少…

8月の俳句

相聞の河鹿の声のくぐもりて 空論と空理の境生業の秋 ちゅーちゅーと原爆の日のドリンクを飲む 合縁と奇縁のあはひ蜻蛉交 渓流に揺るる鬼百合闇香る その先を迷っておりぬ瓜の蔓 揺れやまぬ一木の一葉秋意かな 川は澄み河鹿は鳴けり物な思ひそ 病院を三歩離…

内側に足場をおきながら一方通行にならず維新史をサクセスストーリーでなく見る方法の検討

『歴史学研究』の2018年8月号に後藤敦史氏が「異国船はなぜ来たか.」という論考をよせられている。その趣旨は内側に足場をおく一国史観は一方通行的になり明治維新をサクセスストーリーとしてみてしまう。それを相対化するためには研究戦略として東アジア海…

7月の俳句

落花といふ美しさのありエゴの花 落花よりわずかにはやき翡翠の影

収集史料の委託

若い時、もう50年以上前から、研究過程で自分で集めたり、史料所有者から委託されたり、原史料を借りてコピーしたものが相当数あった。どうするか考えていたが、その多くは私が茨城大学にいた時に集めたものがおおいので、茨城県の歴史館に委託することにし…

蝋山政道における起承転結

この間体調を崩し、ブログを休んでいたら何人かの若い友人から「催促」もあり、体調も回復してきたので書くことにする。 この間、『占領戦後史研究会ニュースレター』2018年6月に「戦後体制の言説生産の場と主体」という文章を書いた。そこでは蝋山政道が戦…

吟行場所としてのスーパーマーケットとその結果

昨日、市井の日常の場の一つとして選んだスーパーマーケットに吟行した。そのあとの句会ではいつになく豊富で多様で具体的な俳句が披露された。 カーネーションのあたりの品の影深き(いつこさんー以下さん省略) メロディーとともに売らるる新茶かな(ひでお…

出版記念会と四月の俳句

4月15日日曜日に小金井市のマロンホールで地元小金井市の「雨宮ゼミナール」の方々による拙著『協同主義と戦後システム』有志舎 、の出版記念会がひらかれた。27名参加され、地元の人、若い研究仲間、茨城大学、獨協大学で教えたゼミ生などがそれぞれ10人ず…

『戦時期の労働と生活』法政大学大原社会問題研究所の2,3の論文について

出口雄一さんと米山忠寛さんから『戦時期の労働と生活』法政大学出版会、2018年をいただいた。第八章戦時期の生活と「遵法運動」と題する出口さんの論文は国家法秩序と社会規範の分立をめぐる動きの実証的な論文でありその歴史的法学的位置と意味をみごとに…

三月の俳句と吟行の場所

雪曝し四十八茶百鼠 春の闇乗せて空っぽメリーゴーランド 雪解光紙漉く村を両断す 以上が句会にだした句である。また5月の吟行の幹事を依頼されたので場所をかんがえた。今まで行ったり聞いたりした場所は例外なく名所旧跡、公園である。私はより日常的で市…

市制60周年、歴史、課題

2月17日に「小金井市民運動新聞」の編集部の人から、市制60周年を迎えるにあたり、私が現在、市民講座で行っている「小金井市の近現代史から小金井市の現状と課題を考える」の内容を8回から10回ほど連載したいとの依頼があった。3月に上梓される本のあとは今…

「戦後レジームからの脱却」と沖縄

昨2月8日戦後体制研究会の研究例会があった。自民党衆議院議員で宏池会の国場幸之助さんのインタビューがおこなわれた。沖縄の保守故の特徴でかつその課題の複雑性や先端性ゆえに保守そのものの先端的普遍性につらなることを感じた。 特に印象的であったのは…

唯武器論と朝鮮問題

唯武器論とは1933年に毛沢東が「持久戦」という著作のなかでのべたものである。戦争の勝敗は武器のみによって決まらない。きめるのは物ではなく人である。持久戦争になれば敵の武器も消耗したり士気がなくなったり、国内での厭戦、国際世論の非難などの武器…

帰心といふ色 - 雨宮昭一の個人研究室

帰心といふ色 - 雨宮昭一の個人研究室

帰心といふ色

1月20日のマッカーサーノート研究会、翌21日の文明ホオラム@北多摩に連続参加したがさすがに疲労した。20日の統帥権の報告については私の『近代日本の戦争指導』の範囲であった。もう1本の立憲民主党の生成過程はじつにおもしろかった。旧社会党、連合、広告…

2018年の年賀状

明けましておめでとうございます。昨年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願い申し上げます。 昨年は3月に大学院の講義を終えて長い教員生活を終えました。お世話になり感謝申し上げます。引き続き日野市審議会、新しくNPOの理事就任などあり、天…

12月の俳句など

11月26日横浜で天川さんの新著をめぐる「放談会」で報告。ポスト戦後体制ではこれまでの集権、分権などなどの再定義が必要なことなど話す。内容は本にされるとのこと。 単著の再校終わりつつある。改めて各収録作品を見ると、主要なものはいずれも2014年に退…

南天に南天の実

11月5日小金井市公民館自主講座で「小金井市の近現代史における生活の困難と互助と 連帯をめぐって」の講演行う。参加された市民がいずれもボランティアなどの社会に関わられていることに驚く。俳句、尺八、しごとなどなしつつ。 著書の初校やっと終わる。26…

赤の静謐

今度の選挙の基本的な争点は戦後体制の越え方である、との私の指摘に賛成される意見があった。選挙のことも考え、出版する本の校正も行い、発句もしてしまった。 10月の俳句 メタリックな赤の静謐曼珠沙華 風よりも視線にゆるる曼珠沙華 亀石は西に向かはず…

今度の選挙の争点は戦後体制の越え方

争点は、日本国憲法、その憲法に規制された安全保障、必ずしも新自由主義的でない社会保障、外国人との共生などを要素とする戦後体制をどうするかである。 安倍自民党も小池希望の党も改憲、憲法に規制されない軍事的安保、新自由主義、日本ファーストなどで…

戦後体制の最悪の越え方ー超え方の大連立ー政権交代が争点ではない

この数日間の政治の動きははげしい。小池百合子氏の主張には賛成できないが、まさに見事な政治というアートをあやつる卓越したアーティストである。このまま進むと自民党が辛勝するにしろ、希望の党が大量進出などいずれにしても考えられるのは、改憲、新自…

白の密度

協同主義に関する本を準備していて、どっと初校が送られて来ている。余裕がないので九 月の俳句を記しておく。 団子虫反転するや秋思あり 白桃の白の密度や迎鐘 中天の柄杓のしたの秋思かな

8月の俳句

大変な暑さと湿気の中で飯田泰三さん、出口雄一さん、坂野潤治さんの文字通りの 大著をやっと読み終えたがその感想をこのブログにも載せようと思ったが体力気力が追いつかないのでそれはおいおいすることにして俳句をかく。 8月の俳句 星祭逢へぬ予感は太古…

憲法体制を支える言説生産の場としての憲法調査会。日米解釈改憲体制としての憲法体制。

7月22日に占領・戦後史研究会で、廣田直美『内閣憲法調査会の軌跡』書評報告を依頼され行った。詳しい内容は『会報』に載せられると思うのでごく簡単に話す。本書は56年岸内閣の時に作られた調査会が改憲促進の予測に反した理由を調査会内部の動きを分析して…

格差、コミュニティ、私的所有権

この間いくつかの研究会に出席したが印象に残ったことに感想を書くことにする。少し前になるが5月28日に本当に久しぶりに歴史学研究会大会現代史部会に参加した。それぞれの報告、コメントにたくさんのことを教えていただいたが、1つは格差が偏差値的格差で…