雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

歴史的不見識ー最高裁の二つの「不正規労働」判決および学術会議候補排除

本月13日に最高裁は正規労働者と契約社員等の不正規労働者は労働が違うので、待遇に格差があるのは当然との二つの判決を出した。この判断には驚いている。株主の利益のためには、労働者を安価に使うために分断しまくる新自由主義のほとんど直接的なお先棒…

2020年10月の俳句

深大寺鯉の眼に彼岸花 曼殊沙華犬猫貉通り過ぎ 曼殊沙華あまたの孤老通る道 困民の謀叛の山の粧ひけり はきはきと足場組む人秋高し 家繕う患癒されるごと秋澄て 山査子の実右に見て退院す 明け夜勤の看護師のジィンズ空高し 病院働き人の子乗せ自転車数多か…

「『一強』の今とこれから」および2020年9月の俳句

クレイジーともいうべき炎暑がおわりつつある。この間も研究会,句作などはおこなっていた。とくにオンラインであるが、8月30日の協同主義研究会では、三木清の協同主義研究、美濃部達吉の「天皇機関説事件」の二つの新しい視角から、あるいはこれまでの通説…

2020年8月の俳句

八月の雑踏八月の死者の列 咲き満ちてこそ散華蓮の花 月見草苦労と不幸は別のもの 啄木鳥の打つ音杜の深まりぬ ベランダに茄子の花咲かせて喜寿 ベランダに茄子の花一人住む 長雨の自適の日々の茄子の花 最後には朴訥なのか茄子の花 妻に恋の人妻に逢ひの文…

可変性のうちに主体的に再構成を

この間、オンライン研究会が続いている。5月31日、6月20日の協同主義研究会では司会、7月4日の戦時法研究会では報告を行ったが、いずれも10人から20人の小規模のものであった。昨日7月19日の歴史学研究会総合部会例会は270名の参加者で行われた。.私も…

2020年7月の俳句

夏落葉落ちる音のみ自粛午後 校門初夏のびしたままの長い猫 知り人のかおこえ嬉々とズーム夏 数千のはくてふもつれおほけやき 句誌の上交合はじめる小蠅たち 時計草落ちて時空のかたよりぬ ライトブルーのサングラスものおもはざりき あらためて紫陽花をみる…

「コロナ」への対処と日本の過去・現在・未来ー試論

この五月末には日本における新型コロナウイルスの爆発的感染は少なくとも第一次は抑えられた。その対処の仕方と結果については、中国、米国、韓国、ヨーロッパ諸国などと比較するといくつか特徴がある。 大きくは中国のような全体主義的対応とアメリカのよう…

2020年6月の俳句

都市政治と国際政治に関する政治史と歴史学の方法と立ち位置に関わる二つのエッセイを書かなければと書きつつあるがなかなか進まない。 はなれあひゆきかひあらたコロナ夏 ステイホーム東京の空深く透き 公園サクス尾崎卒業たどたどし 出来心と酢醬油に噎せ…

5月の俳句

かなしみを引き継いでいる花祭 人見えずひたすら若葉樹と闇と 徒歩八分銀杏若葉の真ん中に なにものも時に残さずアロハシャツ 静謐をうつす鏡や青葉木菟 湧水のあやつる時や風ひかる 以上

「思想家」と「俳人」

一昨日5月13日は少々印象的な日だった。 一つは、若い研究者から、私の『協同主義とポスト戦後システム』などの著書、最近書いた研究ノート「協同主義と研究の様々な課題と様々な立ち位置-ポスト戦後体制期と内外の当事者性、メタ、既成制度」、「「協同…

2020年5月の俳句

退屈なので俳句をつくってしまったので5月にならないがひとまず。追加はあるかもしれない。 噴水のあやつる時や風ひかる 艶けきは深緑こぶし花の後 要らないが急ぐことばかり風光る 「コロナ」あろうとなかろうと糞ころがし 後頭に夏ある真蛸転倒す 柿若葉…

2020年4月の俳句

雪に春ごみのうえからあらせいとう かみあわぬ犬と入れ歯と朧月 はずれにはかならず桜甲斐の村 疎らとはかくもはなやか藪こぶし 若柴の一葉一葉の陽のひかり 聞かなかったことにしてくれ亀が鳴く 何をしに来たか忘れて亀が鳴く 物理学ラボの机の亀が鳴く エ…

「非常事態体制」が促進することについて

コロナウイルス対応は市場経済のみのその意味で“過剰な”グローバル化への市場経済以外の要素への“後戻り”の側面もあるが、歴史の中の、全面にわたる「非常事態体制」と共通するこれまでの課題の強制的、ある意味では暴力的促進を行う側面もあろう。 送られて…

対パンデミック、オーバーシュート「非常事態体制」を

強風なのに桜の花がだんじて散らないのに驚いたりしているが、この数日の新型コロナウイルス感染者の急増にも驚いている。しかも検査が不十分なのでさらに感染者は多いはずである。 それゆえに日本全体としては感染爆発=オーバーシュートを遅らせるためにす…

3月の俳句補遺

3月14日の雪ははげしかった。大きな牡丹雪が1時間ほど、ついでごく短時間粉雪、そして霙がしばらくつづき、雨となった。その間2時間ほどであった。ついつい春の雪などを詠んでしまった。 前の世に見しごとき街春の雪 休校の公園の子らに春の雪 不機嫌な鴉コ…

「「株主主権」という旧い体制を越え」

2年前の2018年3月に上梓した『協同主義とポスト戦後システム』(有志舎)の表紙の帯の裏と表の見事な文章を編集者であり社長である永滝稔さんが作成された。著者の私が付け加えたのは、唯一、「株主主権」のみであった。表の文章は 新自由主義の時代から…

2020年3月の俳句

この間、カール・ポランニーの『大転換』および『カール・ポランニー伝』のいずれも500頁近い2冊を読み、1頁に要約しかつ私の問題意識の文脈に位置ずける作業を10日間で行い、やっと『地域総合研究』(本年3月)に載せる研究ノートの校正が終わった。ポ…

2020年2月の俳句補遺

すごく締切りに迫られているのに、いるゆえに、ある人から私に雪の俳句がない、といわれてついつい、雪の俳句で遊んでしまった。 雪白く影は真白くなべて闇 ひとり居の雪降る甲府けふも雪 やや重き雪のかささしおみな来る 雪の声竹林の中頻々と 透き通る富士…

2020年2月の俳句

「協同主義研究の様々な課題と様々な立ち位置ーポスト戦後体制と内外の当事者性、メタ、既成制度」ならびに「「協同主義とポスト戦後システム」再考ー社会的連帯経済、再編福祉国家論、MMT」の『地域総合研究』に載せる予定の二つの研究ノートを仕上げる…

消費税プラス「反緊縮」?

昨日4日、「人々の経済政策研究会」などで知られている松尾匡立命館大学教授のhearing調査に参加した。友人の大嶽秀夫氏および木寺元明大教授のさそいであった。 二人からは現在の政党研究の一環としてれいわ新選組との関係がきかれた。松尾さんからは山本太…

2020年1月の俳句

ずわいがにのごときかなしみおおあした 昨日と何も変らぬ大旦 初空や時を追い越す雲の影 成人の日の律儀なスカイツリー やはらかき雨成人のそれぞれに 成人の日の惜しげもなき寒さ 初旅は友の通夜なり甲斐連山 よそおいの静かに終わる甲斐の山 梅一輪峡谷の…

いただいた本への短いコメント

昨年12月30日に年賀状をパソコンで作成した。結構ソフトが簡単に動かず、QAなどを使いながらなんとかできて、予想外に達成感に満たされておどろいた。年末に近くいただいた本へのお礼は毎年年賀状でさせていただいてきた。以下はその一部である。 大谷基道『…

2020年の年賀状

明けましておめでとうございます。昨年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。 昨年三月に協同主義研究会を立ち上げ、多くの人から学ぶことができました。三月と十二月の報告、とくに後者ではMMTと近現代史および政治学との関連に随…

2019年12月の俳句

よそおいの静かに終わる甲斐の山 成人の一人一人に雨やわら 成人の日のますぐなる紀尾井坂 休日もラッシュの中のクリスマス 段差なくつまずいているクリスマス 満足すだから転職クリスマス 雄鳩が膨らんでいるクリスマス 駆け込まない立ち止まらないクリスマ…

政治史の豊かな展開

本月12月15日の第5回協同主義研究会での「「協同主義とポスト戦後システム」再論ー社会的連帯経済・再編福祉国家論・MMTと関連させて」と題する報告を終えてしばらくぼーっとしていたが、そのほかに参加した研究会で気がついたことを書く。 11月30日歴科…

雑草愛と雑草絶滅欲

先日句会の後の飲み会で、庭の雑草取りを腰が痛くなっても三度まではがんばる、とかとにかく雑草を一本もはやさないようにしているとか、少し忙しくて伸びていたら隣の奥さんから体でもこわしたのですかといわれたりとか、友人が少し雑草をのばしていたらゴ…

11月の俳句

秋澄みて都市の礫川白々と 大手町都市の紅葉ななかまど 旧石器よりの営み野川湧水 藤袴咲きたりと告ぐ母の墓 あつかんやぐちぐちぐちるやさおとこ なにいってんだかわからんけんど石蕗の花 秋の池かすかに揺らす笹の音 諦念とは明らめること曼殊沙華 行く秋…

研究会でのおおまかなコメント

10月26日に東京経済大学で「牧原憲夫と語る会」に参加した。配られた資料から、氏は、例えば朝鮮史において民衆から朝鮮が植民地になぜなったかを考えてほしい、という論点をだしている。これまで国家、権力、に関わらない「主体」としての民衆像を牧原氏…

2019年10月の俳句

一粒の水の迅さや大野分 真二つに割る栗のいが富士の山 野分過ぐ耳鳴りのみのしんしんと 野分過ぐ東京の月かあくかあくと 風通し目通し千年枕草子 老媼二人置きたる大花野 咲きみだるる百日草や生家まで 以上

表現の自由

今日、あいちトリエンナーレのことを書いたが、それと関連して私的なことを思い出した。私が勤めていたある国立大学の研究所の所長をしていた15年近く前のことである。 研究所の講堂で折からの社会科教科書をめぐる公開研究会のような催しを所員の何人かがや…