雨宮昭一の個人研究室

政治学と歴史学と地域の研究をしている雨宮昭一の備忘録です

1月の俳句 帰心といふ色

1月20日マッカーサーノート研究会、翌21日の文明ホオラム@北多摩に連続参加したがさすがに疲労した。20日統帥権の報告については私の『近代日本の戦争指導』の範囲であった。もう1本の立憲民主党の生成過程はじつにおもしろかった。旧社会党、連合、広告会社、官僚、ITなどなどがからんだ実態がよくわかった。さて1月の俳句を記録しておく。

寒夕日文焼く庭火の芯照らす

うす紅のかすかな憂い寒卵

帰心といふ色のありけり虎落笛

雪落ちる音をみている幼さなかな

抱き上げる赤子の重さ冬銀河

赤子洪笑寒鴉微苦笑

ひくも老ひかれるも老寒椿

 

2018年の年賀状

 明けましておめでとうございます。昨年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願い申し上げます。 

 昨年は3月に大学院の講義を終えて長い教員生活を終えました。お世話になり感謝申し上げます。引き続き日野市審議会、新しくNPOの理事就任などあり、天川さんの新著をめぐるシンポジウム、小金井市公民館自主講座での報告を行いました。。新年2ないし3月に上梓予定の単著『協同主義とポスト戦後システム』(有志舎)の準備にあけました。収録作品がいずれも2014年の退職後のもので、かつ発表がいずれも地域の人々とのつながりの場でなされたことに少し驚いています。

 報告や本作りの準備は苦しいけれど本当に楽しくて身体が追いついていないことを反省して、新年はいい加減にしょうと思います。 

 皆様の健康と御多幸を心よりお祈り申し上げます。

2018年 元旦

 

12月の俳句など

 11月26日横浜で天川さんの新著をめぐる「放談会」で報告。ポスト戦後体制ではこれまでの集権、分権などなどの再定義が必要なことなど話す。内容は本にされるとのこと。

 単著の再校終わりつつある。改めて各収録作品を見ると、主要なものはいずれも2014年に退職して以後のものであることに気づき驚く。たしかに第一章の協同主義のマッピングは退職前からの懸案で退職後の集中出来る時間で出来たものである。

 もう一つ気づいたことは、第一章もふくめていずれも住んでいる地域の人々の関係で発表されたものであることである。詳しいことは「あとがき」に譲るが印象的であった。

 しかし本年は報告や出版の苦しいけれど本当に楽しいことに熱中して身体が追いついていないことを反省して今後いい加減にするよう心がけたい。  

 俳句を記録する。

返り花ひと日この世の花となり

十二月まなこ逸らさぬ大鴉

いにしえもいまもパザール門前の冬

閑かさに芯あるごとく冬の瀑布(たき)

11月の俳句 南天に南天の実

11月5日小金井市公民館自主講座で「小金井市近現代史における生活の困難と互助と

連帯をめぐって」の講演行う。参加された市民がいずれもボランティアなどの社会に関わられていることに驚く。俳句、尺八、しごとなどなしつつ。

 著書の初校やっと終わる。26日の村松岐夫さんと共に行う「放談会」の準備を始めている。『天川晃最終講義 戦後自治制度の形成』放送大学叢書 2017年に対するコメントである。私のポイントは戦時、戦後、ポスト戦後システムの変化の中に天川モデルを位置づけるとどうなるか、および天川モデルに地域自治、地域運営、地域社会形成を入れ込むとどうなるか、である。天川さんがいてくれたらすごく面白くクリエイティブになるのに、と痛惜強い。

 ということで俳句への余力がなかったが初校校正の終わりに行った伊豆旅行と12日の高幡不動吟行句会でつくった推敲不足の俳句を載せる。 

白小菊懸崖仕立ての恋もあり

笹の舞かすかに揺るる水琴窟

紅葉のまつただなかに鳶降りる

講終へる南天南天の実柿に柿の実

須臾の実の赤に耐えかね空碧に

赤々と五層の伽藍鰯雲

走りびと花踏みしだき神無月

秋高し小田原城に人の影

国府駅直ぐに遙かな秋の海

 

 

 

10月の俳句 赤の静謐

今度の選挙の基本的な争点は戦後体制の越え方である、との私の指摘に賛成される意見があった。選挙のことも考え、出版する本の校正も行い、発句もしてしまった。

  10月の俳句

メタリックな赤の静謐曼珠沙華

風よりも視線にゆるる曼珠沙華

亀石は西に向かはず曼珠沙華

実柘榴の赤の充実空を咬む

歓びの大盤振る舞い嬰九月

今度の選挙の争点は戦後体制の越え方

争点は、日本国憲法、その憲法に規制された安全保障、必ずしも新自由主義的でない社会保障、外国人との共生などを要素とする戦後体制をどうするかである。

 安倍自民党も小池希望の党改憲憲法に規制されない軍事的安保、新自由主義、日本ファーストなどで戦後体制を越えようとしており、小池の方が過激であるが越え方としてはおなじである。それに対して立憲民主党共産党社民党などはニュアンスは異なるが戦後体制を壊さずそれを基盤に戦後体制をこえようとしている、といってよい(戦後体制の越え方については雨宮『戦後の越え方』日本経済評論社、2013年)。

 このようなこれからの国民や国家の将来を決める大事な選挙で安倍が小池か、のようなところに争点があるわけではない。